本当にプロフェッショナルな部分がなくて、素人だからできる強さはあるかもしれない。
タナカホンヤ
text & photo by Nariya Esaki
店を開くというとエリアをリサーチして...なんて話もよく聞くけれど、でもお客さんとして足を運ぶならそんなデータよりも何よりも、気になるのは店主の想いじゃないだろうか。タナカホンヤにはそんな店主の想いがいっぱいに詰め込まれているような気がする。
「もともと始まったときは自分の蔵書だけで、今もあんまり変わらないです」
そう実は古本屋なのに今(2014年)でも買い取りはやっていない。にも関わらず蔵書が少なくないのは、もともと本を読むよりも好きな本を人にあげるのが好きで、買い集めるのが楽しくなってしまって、気づけば結構な量になっていたのだとか。それは今も変わっていない。
「一応、自分の中で自分の好きなものを売りたいっていうのが強いんです」
買い取りをやれば安く手に入るのは分かっていはいるものの、それでは好きなものだけというわけにはいかなくなってしまうし、何よりの理由はもうひとつの方かもしれない。
「本をいっぱい通路に置いてある古本屋さんにはしたくなかったんですよね」
「なんかレンタルギャラリーみたいなのができたらいいなっていうのがあって、あんまり本ばかりだとおもしろくないし、ほかにもいい古本屋さんはあるので。やっぱりちょっと違う感じの方がいいなっていう。それで棚とかもタイヤが付いてるのを選んで、そのときによって配置を自由に変えられるようにしてあります」
わたしが取材に行ったときも、以前あしを運んだときはライブハウスのようだったのに、その場所は和服ギャラリーのように様変わりしていた。それでも本屋としての佇まいを壊すことなく成立しているのはなぜなんだろうか。
「ぼくの場合はなにも考えてないんですよ。でもなにも考えてないからこそできることって結構強くて。やっぱりあれこれ考えてやるとなかなか難しいというか、勢いがないとできない部分もあるじゃないですか。だからぼくの場合は本当に勢いしかないし、なにも考えてないからできてる部分はあります。そういう意味では本当にプロフェッショナル部分が全くなくなくて素人だからできる強さみたいなのはあるかもしれないですね。本当、本屋さんやってたらやってなかったかもしれない」
だからこそタナカホンヤには"好き"がたくさん詰まった空間ができているのかもしれない。覗けばあなたもひょっとしたら"好き"を見つけられるかもしれない。
(おわり)
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