お昼食べられなかったら、もう1日嫌な気分ですよね。
cafe kipferl
interview by Kotmi Akiba
edit & photo by Nariya Esaki
さて「食の一期一会」とは言え、もちろんキプフェルにも欠かせない定番メニューはある。それがその名前の由来にもなった三日月形のカレーと、それにナポリタン。なぜこの2つが選ばれたのか、それはもうこの話を聞けば納得の定番だ。でもこれもひょっとすると、この日偶然聞けた話かもしれない。なにせ、それは取材する2日前、偶然いつもはいるランチスタッフが誰も来られなかったのだから。
「スタッフの都合がつかなくて、ひとりでやることになって。もちろん休むっていう手もあるんですけど、でもランチをここをあてにして来る人を、ここまで歩いて来てもらって、帰らせたくないんですよ。ていうのも区役所(のような遠くから)来る人は、ここがダメだったらお昼を食べられない覚悟をしなきゃいけないんですよね」
――遠いとそうですよね。
「そうなんです。たとえば職場のビルから出て来て、ここまで来るだけで7、8分はかかるんですよね。早くても」
――それで実際食べられる時間が30分くらいだと、かなり厳しいですよね。
「戻って歯を磨いたり、メイクを直したりしなきゃいけない。それを考えてのいつものランチメニューなんですよ。それを出せる状態であることを前提にしてのランチメニューを考えているので。だから昼はこういう夜のメニューは出せないんですよ。まず選ばせてしまうと選ぶのに時間がかかるし、こっちの対応も遅れてしまう。で、食べられずに帰ってもらわなきゃいけないってなったら、凄い嫌な気分で帰って、職場戻って、もう1日嫌な気分になりますよね。お昼を食べられなかったら。それだけは絶対しちゃいけないことなんで。そうするために昼だけはどんなに暇な日があってもスタッフは入れるようにしてるんです」
当たり前と言えば当たり前かもしれない。でもお昼を選ぶときって、やっぱりどうしてもスピードを求めてチェーン店に行きがち。でもお昼を食べられなかったときのことよりも、たまにはおいしいお昼にありつけたときのことを想像して足を運ぶのもいいかもしれない。
(おわり)
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